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2009年04月09日

特許法の罠10 真実の拳

「RCCは松本製作所よりも先に、チタンのアンテナの製造方法の発明をした。彼らはすぐに特許出願をして、無事に特許を受けることができた。ところが、松本製作所がチタン製のアンテナを販売を始めた。特許権が侵害されている可能性が高いが、松本製作所の生産工程は秘密にされているので、証拠がない。そこでRCCは、『生産方法の推定』の規定に則り、松本製作所が同じ方法で生産してるものと推定して、警告状を送った。それが真相じゃないですか?」
「それじゃあ、RCCは何も悪くないじゃないか!」
「そうです。勇み足をしたのは、玉村さんの方ですよ」
 なんということだ。私は勇み足をしてしまったのだ・・・。いいや待て!RCCは特許権の移転に応じたではないか。さらに、その後も何の文句をつけてこない。ということは、彼らにも疚しいところがあるのだ。つまり、私の推理通り、RCCは松本製作所の元社員から情報を買っていたということだ。
「河原君、そうは思わないかね?」
 自信を取り戻した私は、そう尋ねた。
「そうかもしれませんが・・・」河原は冷ややかな視線を私に向けながら続けた。「玉村さんの腕力を恐れて、何も言えないだけかもしれませんよ」
「わ、腕力だなんて、まるで私が暴力でも振るったみたいじゃないか!見てきたようなことを言わないでくれ!」
 私はきつく彼を睨みつけた。
「見ていなくても、そのくらい推定できますよ」
 推定だと?うまいことを言ったつもりか!私は興奮して立ち上がった。
「おい、推定、推定と言うが、真実はどうでもいいのか?大切なのは真実じゃないのか!」
 私は右の拳を高く突き上げた。
「いいかよーく聞け!これまでも、そして、これからも、私はこの拳で真実を守り続けるんだ!」
 河原の視線が、さらに冷たくなった。気がつくと、マーロンもこちらを見ていた。私は、突き上げた右腕を回して、肩の調子を確かめるふりをした。
(了)
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posted by かずひで at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 第一話 特許法の罠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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