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2009年04月13日

疑惑の登録商標2 三郎との出会い

 村田三郎が、弁理屋玉村堂を訪ねて来たのは、一週間前のことだった。
「ボディーガードをお願いしたいんです」
 小柄な好々爺のような雰囲気の三郎は、席に着くなりそう言った。
「ボディーガード?愛しいレディ達を守るのは、ライフワークとも言えますが」と私は答えた。「おっといけない。うっかりレディ達と言ってしまいました。レディという単数形に訂正させて頂きます」
 三郎は何かに迷うような表情をしたが、しばらくするとゆっくり話し始めた。
「お願いしたいのは、ボクサーのボディーガードです。実は、私はボクシングジムを経営しているんです。息子の大吾も選手でして、今度、世界タイトルマッチに挑戦することになりました」
「それはすごい!まさに親子鷹ですな!」
 言ってから、親子鷹は死語ではないかと、心配になった。慌てて三郎の表情を観察する。しかし、彼は嬉しそうに目を細めていた。
「ありがとうございます。ただ、一つ心配なことがあるんです」
「心配なこと?」
「対戦相手のことです。相手は、番田という日本人選手なんです」
「日本人対決というわけですね。それは盛り上がりそうだ」
「その番田のジムは、クレイジーボクセというのですが、ダーディーなことで有名なんです。彼らは、ローブローや肘打ちといった、反則攻撃をためらいもなく仕掛けてきます。過去には、乱闘騒ぎを起こしたこともありました」
「それは危険だ。しかし、試合中にボディーガードをするわけにはいかないですね。どうすればいいのでしょう?」
 すると、彼は、カバンから紙切れを取り出した。
「今回の試合のチケットです。玉村さんには、この最前列の席で観戦していて頂きたいんです。何も起きなかった時は、試合をただ楽しんでください。ただし、クレイジーボクセが何かを仕掛けてきたとしたら、その時には助けてもらいたい」
 そう言って、彼はチケットを私の前に差し出した。
「私のジムには、軽量級の選手しかいない。乱闘が起きた時には、あなたのような体の大きな方の力が必要になるんです」
「しかし、私は便利屋です。ボクサーを守れるかどうか・・・」
「実は、玉村さんが格闘技に精通していると言うお話を、聞いているんですが」
 そういうことだったのか。どうやら彼は、私の過去を知っているようだ。
「七ヶ月前に右肩を痛めて以来、格闘技とは縁を切ったつもりでした。しかし、私の力が必要とされる時が来たようですね。この仕事、お引き受けしましょう」
posted by かずひで at 01:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 第二話 疑惑の登録商標 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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