にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へ弁理士ブログランキングです。

2009年04月25日

疑惑の登録商標7 選手入場

「これより、IBE世界フライ級チャンピオンシップを行います。挑戦者、村田大吾選手の入場です」
 唐突な場内アナウンスに続き、荘厳な入場テーマが鳴り響く。ゲートの奥から村田大吾が姿を見せた。後には三郎会長と数人のセコンドが続く。
 もうすぐ試合がはじまってしまう。それまでにクレイジーボクセの企みを、暴かなければならない。商標が刻印されたこのコインで、いったい何をするつもりなのか。
 私はコインを軽く中空に放り投げてみた。ずしりと重い。もう一度投げる。コインを掴んだ手の平に、鈍い感触が残る。ずいぶん重いコインだ。この重さ・・・、さては・・・。
「分かったぞ!奴らはこのコインを、村田大吾に投げつけるつもりだ!」と私は叫んだ。
 一見すると平凡なコインだが、全力で放り投げたとしたら、それは非常に危険な凶器と化す。頭に当たれば、裂傷を負うだろう。当たる角度によっては、頭蓋骨が破壊されるかもしれない。
「河原!リングサイドで不審な動きをする者がいないかを、よーく観察するんだ!」
ところが、緊急事態だというのに、河原は気の抜けた表情のままである。本当に使えない男だ。少しばかり引き締める必要がありそうだ。
「コインを投げつけるとは、考えにくいですね」
 私が河原に鉄拳制裁を加えようとした時、彼はそう言った。
「リングの外からコインを投げても、うまく命中しませんよ。下手をしたら、味方に当たるかもしれない」
「むむ。たしかに」
 私は再び考え込んだ。ふとリング上に目を移すと、入場を終えた大吾が、場内の歓声に応えるように両手を挙げていた。心なしか、表情が硬いように見える。
「続きまして、チャンピオン、番田玲選手の入場です」
 入場テーマがアップテンポな曲に変わった。そして、けたたましい雄たけびを挙げながら、番田が入場口から飛び出してきた。日に焼けた体。その逞しい筋肉は、まるで豹のようだ。
彼に続き十人近い男たちの集団が姿を現す。この目つきの悪い奴らが、番田のセコンドなのか。その一番後ろに、藤丸会長の姿が見えた。これは厄介な相手だ。
posted by かずひで at 21:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 第二話 疑惑の登録商標 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/118075376
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。