にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へ弁理士ブログランキングです。

2009年05月04日

疑惑の登録商標10 ダウンカウント

「ワン、ツー、スリー、フォー」
 ダウンカウントが数えられる中、大吾は必死に体を起こそうとする。
「ファイブ、シックス、セブン」
 首を振りながら、なんとか立ち上がった。
 大丈夫か?というレフリーの問いかけに頷き、大吾はファイティングポーズをとった。かろうじてKOは免れた。しかし大吾の足下はおぼつかない。ダメージが大きいようだ。
 私は三郎の方を見た。彼はタオルを握り締めていた。セコンドがリングにタオルを投げ入れれば、それはすなわち棄権の意思表示だ。私には、三郎がタオルを投げるタイミングを窺っているように見えた。会長として、そして父親として、これ以上試合を続けされることはできないのだろう。
「ファイト!」
 レフリーの掛け声と共に、番田が襲い掛かる。三郎は慌てて、タオルを持った手を振りかぶった。
 しかし、タオルが投げ込まれる寸前に、ゴングが鳴った。第一ラウンドが終了したのだ。大吾はふらふらと自陣のコーナーに戻り、パイプ椅子に座った。
 まだやれるか?というセコンドの呼びかけにも、うつろな表情でうなずくだけ。心は既に折れかかっているようだ。
 私は先程のダウンの場面を思い返してみた。番田と大吾のパンチは、相打ちになった。しかし大吾だけがダウンし、そして大きなダメージを負った。番田と大吾のパンチ力の差は、歴然としている。反則などしなくても、番田の勝利は揺がないように思える。いったいなぜ、番田は反則を計画していたのだろう。
「番田のパンチは重い。重すぎる。まるで鉄の塊で殴られたみたいだ」
 大吾が、か細い声でそう呟いた。
重いパンチ・・・。
その時、私の中で何かがはじけた。
 私は今まで、いつ反則が行われるかに目を光らせてきた。しかし、反則はもう行われているのではないだろうか?もしかしたら、あのパンチ力の差は、反則の結果なのではないだろうか?
 鉄の塊・・・。
 その刹那、私はクレイジーボクセの計画の全貌を、完全に見渡すことができた。
「そういうことだったのか!」
 私はエプロンを駆け上がり、ロープを飛び越えた。玉村光雄、満を持してリングイン。
posted by かずひで at 23:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 第二話 疑惑の登録商標 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。