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2009年05月11日

疑惑の登録商標11 乱入

 リングに上がった私は、チャンピオンのコーナーにゆっくりと歩み寄った。
「お前たち、このコインを使って、反則を仕掛けやがったな!」
 そう言いながら、私は番田と藤丸の目の前にコインを突きつけた。
「反則?何のことだ?」と藤丸が言った。
「さっきダウンを奪った右ストレート、ずいぶん重たそうじゃないか。しかし、あの重さはお前の練習の成果ではない!」
 藤丸の表情が曇った。
「このコインをグローブの中に詰め込んだせいだな!」
「何を根拠に!」
「お前が『コインを反則に使おう』と言っていたのを聞いたんだ」
「反則に使う?そんなことを言った覚えはない」
「とぼけるな!」
 私はそう言って彼を睨みつけた。
「控え室に重い金属を持ち込んだら、すぐに反則を疑われる。しかし、商標を付したコインなら、監視の目も緩くなるのだろう。うまいことを考えたな」
「適当なことを言うな!」
「商標っていうのはな、自分の商売を写す鏡なんだ。それをそんな卑怯なことに使いやがって!この商標については、不正使用取消審判*3 を提起するつもりだ。こんなもの、弁理士の手にかかれば、一発で取り消しだ」
「弁理士?貴様何者なんだ?」
「私は、理(ことわり)を、弁(わきま)えた、士(さむらい)・・・」
 その時、これまで静かだった番田が、私の決め台詞をさえぎるように拳をふるってきた。強烈な左フックが私の顔面を襲う。私はとっさに右腕でブロックした。右肩に痺れが走る。この衝撃・・・。左のグローブにも、コインが仕込んであるようだ。
 私はファイティングポーズをとった。番田は再び左右のフックを振るいながら、突進してきた。しかし興奮のあまりパンチは大降りになっていた。このパンチなら、かわすことができる。いくら重いパンチでも、かわしてしまえば関係ない。
私はフックをかいくぐるように屈み、番田の胴に両腕を廻した。そして、そのまま体を密着させ、自分の体重を番田に浴びせる。完璧なタイミングで、私の胴タックルが決まった。バランスを失った番田は、後方にまっすぐ倒れていく。
 そして、番田がマットに倒れる瞬間、私は体を密着させ、頭突きを顔面に叩き込んだ。「ゴツン」という鈍い音が響き、彼は意識を失った。
「反則の証拠を見せてやる!」
 そう叫びながら、私は番田のグローブを掴み、手首から引っこ抜いた。グローブを広げると、眩い銀色の光が見えた。
 私は、観客に見せつけるように、グローブを掲げた。
「クレイジーボクセファンの皆様、目を覚ましてください!これが反則の証拠です!」
 次の瞬間、クレイジーボクセのセコンド陣が、凄まじい勢いでリングに雪崩れ込んできた。私は慌ててリングを飛び降りた。

*3 不正使用取消審判
商標権者が、商標を不正な使い方をした場合に、商標権の取り消しを求める審判のこと。
posted by かずひで at 18:33 | Comment(2) | TrackBack(0) | 第二話 疑惑の登録商標 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「不正使用じゃないだろっ!」
 (=゚▽゚)/ ナンデヤネン!!
と冷静にツッコミます。

※商51条の不正使用は、商標権者が故意に類似商標を使用して、商品等の品質誤認又は混同を生じさせることをいう。
Posted by ドクガク at 2009年05月12日 17:12
連載途中なので返答できませんでしたが、
真相は次々回に明らかに・・・ということでした。
Posted by かずひで@管理人 at 2009年05月28日 23:59
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